資本の蓄積
事務のお仕事といっても、一に体力、二に体力。
体を鍛えることはほとんど義務である。
近所の雑貨屋で、「フィットネスボール」なる商品をみつけた。
「IMPORTED」と誇らしげに太く書かれた宣伝文句が切なく苦い。
買ってみた。
ビニール製の両手で抱えるくらいの大きいボールで、自宅でのトレーニングには有効であるという。へえ。
空気入れを使って懸命に膨らませた。
これだけで相当疲れて、トレーニングをやる体力を消耗した気がする。
が、2000円もしたので、とりあえず使わねばならない。
意外と楽しい。
トレーニングというよりも、ボールの上に座ったり寝転んでみたりしている。 ボールのぼよんぼよん感が面白い。気持ちいい。
これはお買い得だったかもしれない。
支払う額よりも価値のある品物を買うというのが賢い消費者の姿だ。
仰向けにのっかってみて、床から手足を浮かせ、思いっきり力を入れてぼよんぼよんとやったところ、バランスを失い、体が弾かれて強い勢いで放り出され、冷蔵庫に激突、頭を強打。
さらに、冷蔵庫の上に置いてある黒糖梅酒のボトルやワイン、玉ねぎが降ってきて顔を打撲。
痛い。
あまりのダメージに意識が混濁してしまい、このまま人事不省に陥るような気がした。
こんな危険なものを堂々と売っているとは信じがたい。
取扱説明書に太字で「冷蔵庫の上に玉ねぎを置いている方は危険ですのでご使用にならないでください」と明記されているか確認しようとしたところ、英語だったので辞書が必要だった。電子辞書の取扱説明書もみつけなくてはいけない。
以上の体験から、文化交流のお仕事に必要なのは、
1.「IMPORTED」という言葉に惑わされずに、費用対効果を常に念頭に置くこと
2.硬い玉ねぎには取扱説明書を添付すること
であるといえよう。
それにしても、アメリカ人はこんなもの使って体鍛えてすごいなあと感服した。
タグに「MADE IN TAIWAN」と記してあった。